日本の三大鉄道博物館といえば大宮、名古屋、京都ですが、これ以外に昔からずっと行きたかった鉄道博物館、九州鉄道記念館に行ってきました。
門司港駅に停車中の811系
まずは最寄りの門司港駅へ。オタクと九州旅行(といってもほとんど北九州)に行ったときに立ち寄りました。レトロなホーム看板と駅舎が観光客に人気の駅ですが、オタクなのでさっさと駅を出て記念館に向かいます。
入り口に鎮座する生首×3
門司港駅を出て数分歩くとお目当ての鉄道記念館が見えてきます。入り口にはクハ481-246、ED76 1、EF30 3の生首が鎮座して我々を出迎えてくれています。入館料は500円と、ほかのJRの鉄道博物館に比べるとかなり安い値段です。なお、この生首は入館後に内部に入れるようになっていましたが、春休みということもあってファミリーが多くいたのでサッと見ただけで内部の写真はありません。
59634(形式 9600)
車両展示場の最前部には9600型蒸気機関車59634が展示されていました。私はSLにはあまり詳しくないですが、かっこいいと思いました。(小並感) 9600型蒸気機関車といえば、京都鉄博に同形式の9633が収蔵されていますが、59634はそれとは違って顔の左右にデフロスタが取り付けられています。
C59 1(準鉄道記念物)
その奥にはC59 1がいました。なんと準鉄道記念物だそうです。昭和31年に門司港に配属され、20系客車の寝台特急「あさかぜ」等を牽引した機関車です。 ちなみに私がこのSL2機を見ていた頃、同行していたオタクはフェンスの隙間から展示車両でもない415の写真を撮りまくっていました。頭おかしいんじゃないですかね
EF10 35
つづいてEF10 35。1941(昭和16)年の製造で、翌1942年に開業した関門トンネル内専用の直流電機としてデビューしました。その後は1961(昭和36)年の北九州地区の電化まで、本州と九州を結ぶ旅客列車や貨物列車の牽引にあたっていた機関車です。パンフレットの写真ではなぜか窓枠が銀色になっています。
ED72 1
ED72 1は、先述の北九州地区電化開業と同時にデビューした九州初の交流専用機です。この車両は試作機で、量産機では側面の採光窓が細長く横一列に連続したデザインになっています。ちなみに、ED72やEF10のあたりでずっと機関車の走行音みたいなのがどこかのスピーカからループ再生されていました。
キハ07 41(重要文化財)
キハ07 41です。この車両は2022(令和4)年に重要文化財に指定されました。戦前に製造された機械式気動車で、当時世界的に流行していた流線型デザインを取り入れたデザインとなっています。登場は1937(昭和12)年で、関西急電として有名な52系電車「流電」と同い年です。そう考えるととても似たデザインですね。
クハ481-603
ここからは車内が公開されていたので、中の様子も併せて紹介します。 クハ481-603は言わずも知れた名車、485系のボンネット型先頭車です。この顔は1955(昭和33)年登場の151系「こだま」のデザインを踏襲しており、クリームに赤 の塗装は全国にエル特急ブームを巻き起こしました。この車両は新製当初は東北に配置されていましたが、1982年の東北新幹線開業の伴い九州に転属。九州では「にちりん」「有明」「かもめ」等に使用され、晩年はRED EXPRESS 色に塗装が変更されました。
車内はこんな感じです。青地のモケットに白のカバーがいかにも国鉄特急という感じがします。この車両はグリーン車からの改造車なので、シートの間隔が窓と若干ずれています。座席は簡易リクライニングシートで、ひじ掛けの白いレバーを引くと背もたれが下がりますが、席を離れるとバッタンと大きな音を立てて元に戻ります。「バッタンシート」と呼ばれていたそうです。
また、背もたれを手で起こすことでロックが外れ、座席の転換ができる構造になっています。この構造は151系で初めて採用され、もともとは近鉄10000系「ビスタカー」用に開発されたものです。現在は足元のペダルを踏んで転回させる構造になりました。
クハネ581-8
581系は1967年に登場した日本初の寝台電車です。座席と寝台を転換することで1日中走れることが最大の特徴で、日中は特急「みどり」、夜間は寝台特急「月光」として新大阪~博多間を走りました。晩年は小倉工場で近郊電車715系に改造されました。この車両は九州鉄道記念館で展示するにあたってクハネ581時代の姿に復元しようとしましたが、一部区画の寝台機能を復活させて塗装を戻したくらいで大部分は715系時代のまま残っている、なんともよくわからない保存車です。
車内はこんな感じです。4人掛けのボックスシートが並び、車両限界いっぱいに広げられた天井の両サイドには2,3段目の寝台が格納されています。側窓は二重窓になっていて、その隙間にはベネシャンブラインドが仕込まれています。東北の715系ではクリスマスの時期に側窓の隙間にクリスマスの装飾を入れたことがあるそうです。
1段目の寝台が展開されている区画がありました。まずは写真のようにボックス区画の座面を引っ張り出して1段目を作り、次に網棚を回転させて頭上から2段目を下ろし、ボックス席の上に載せて固定。網棚を戻してその上に3段目を載せて3段寝台とする、なんとも複雑な方法です。設計した星晃氏いわく、同様の方法でA寝台個室を展開する構造のアイデアまでは出たものの、モックアップが作れず実装を断念したそうです。A寝台はのちにサロネ581が改造により登場していますが、そちらはこれと似たような構造の2段寝台です。 見た感じは窮屈そうですが、実際に寝てみると183cmの私でも足を伸ばして寝られるほど余裕のある構造でした。1870mmくらいあると思います。
715系に改造された際には特急時代よりも乗客の乗り降りが増えることを想定してか扉が増設されましたが、ご覧の通りほっそい折り戸だったため乗り降りには結構時間がかかったものと思われます。近郊電車への改造時にはこのほかにも一部側窓の二段窓化や、一部区画のロングシート化、つり革取付などが行われました。
クハネ581には洗面所がついていましたが、715系への改造時に謎スペースにされてしまいました。車内にはこのようなデッドスペースが多数あるため、あまり詰込みが効かない車両だったと思います。
スハネフ14 11
14系は20系に次ぐ二代目のブルートレインとしてデビューした寝台客車です。寝台の幅は20系から大きく広がり、居住性が大きく向上しました。新製当初は3段寝台でしたが、1983~1985年にかけて2段化改造が施工されました。九州では「さくら」「みずほ」「富士」「はやぶさ」などに使用されました。2013年に九州鉄道記念館にやってきた、比較的新しい車両です。
車内はこんな感じです。モケットはJR九州のカラフルなやつに張り替えられていますが、いかにもブルートレイン、といった感じの内装です。こっちも寝てみましたが、サンライズのソロくらいの幅のように感じました。スプリングが効いて寝心地は悪くなかったです。
窓のところには折り畳み式のハシゴがあり、これで2段目に上ることが出来ます。結構高いですが、落ちないようにベルトが2本天井から垂れているのでよほど寝相が悪くない限り落ちることはなさそうです。コンセントは寝台にはもちろんありませんから、充電したければ洗面所に行くしかありません。現在最後の定期寝台列車として運行中のサンライズが全部屋個室寝台(ノビノビを除く)で人気を博しているのを見ると、開放寝台は今の時代には合わない設備であると実感しました。一人あたりのスペースは寝台の分しかないので、開放寝台という設備がいかに大量輸送に特化した設備であるかがよくわかる保存車です。
廊下には窓ごとに折り畳み式の椅子が備え付けられています。ここに座って窓の外を流れる明かりを眺めながら一杯...そんな旅がしてみたかったです。
デッキと客室はこのドアで仕切られています。特急車や急行車ではこのような場合には引き戸が使われるのが一般的ですが、静寂性が特に求められる寝台車では開閉時にガラガラと音の鳴らない開き戸が採用されました。
ちなみにスハネフ14の奥には石炭車セラ1239がいましたが、スハネフ14が展示された際に奥に追いやられ、現在は公開されていません。
本館に入ると、入り口の真正面にいかにも古風な客車が鎮座していました。明治から昭和初期にかけて活躍した三等客車です。
車内はこのようになっており、畳敷きの座面に骨組みだけの背もたれと、長時間の乗車には向いてなさそうな構造の座席が並んでいました。シートピッチも激狭で、ひざを突き合わせて乗ることになりそうです。これと比べれば321系の座席の方がまあマシかな、と思えます。
同じく1階にあるショップにガチャガチャがあったので回そうとしたところ、硬貨が詰まってたので返却ボタンを連打して何とか出してみました。すると100円玉がなんと11枚も出てきてびっくり。誰が入れたんでしょうね...
また、1階には811系のシミュレータもありました。1回100円で門司港~小森江~門司間を運転できます(ただし予約制(とはいえすぐに順番が来る))。本物みたいな運転台で運転ができる本格的なシミュレータです。ちなみにこの車両は追突事故により廃車された先頭車から持ってきたものです。
2階は資料展示コーナーです。ここら辺はまあ他の鉄道博物館と同じような内容かなという印象でした。途中につばめの座席(本物?)に座れるコーナーがありました。
外には大宮てっぱくのようなミニ電車が走っていました(1回300円)。お客さんが少なかったので、一周乗ってみました(大きなお友達しぐさ)が、常時フルノッチにするように指示されたので運転体験というよりはただコースをゆっくり一周するだけのアトラクションでした。車両は選べませんが、何種類か用意されています。
というわけで館内を一通り巡ったところでちょうど昼のいい時間になったので記念館を後にして門司港駅へ。他の鉄道博物館ほどの規模はありませんが、自由に展示車両を間近で見ることができました!また、展示車両に余計な張り紙がほとんどなく、まるでその車両が現役であるかのような没入感を楽しめるのは最大の魅力だと思います。九州に行った際はぜひ立ち寄ってみてください!